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TangoBaroqueを聴いてみる。

TangoBaroque_Sarabando.jpg
新宿のタワーレコードをふらついていて、ふと買ってしまったキワモノCD(厳密にはSACD)。おそらく、このCDを手に取り実際に購入するような人はごく少数だろうから、紹介しておこう。こちらにも紹介されているように、ノルウェー出身のチェリストとバンドネオン奏者の二人が、バロックとタンゴを融合して新たな音楽に作品に仕上げている。ノルウェー音楽大学で出会って以来、パリの東区で初めて再会したのをきっかけに、1998年から一緒に音楽をし始めたとのこと。

バロック音楽の舞曲を基にした形式や即興的な要素は、さまざまなラテン音楽との共通項があり、オーソドックスなクラシック音楽より(時代的には古いにも関わらず)前衛的であることは、古楽に慣れ親しんだ人には半ば常識だろう。今や大指揮者の仲間入りをしたブリュッヘン(Frans Brüggen)も昔はサワークリーム(Sour Cream)という前衛的な音楽をやるアンサンブルを主催していたし、ジャズ界からはキースジャレットやサックスの清水靖晃がバッハを演奏して成功を収めている。日本でもAnthonelloが初期バロックを自由奔放な解釈で演奏し、海外でも高く評価されているようだ。

ここに紹介するTangoBaroqueというデュオは、その事実をタンゴとバロックの融合によって見事に具現化している。メールラ(Tarquino Merula)のCiacconaの後に、何の違和感もなくピアソラ(Astor Piazzolla)のコラールが配置される。なんといっても、このCDの白眉はJ.S.バッハ(J. S. Bach)の無伴奏チェロ組曲第4番の全曲をバンドネオンとの2重奏に編曲したものだろう。もともとバッハの音楽は柔軟性が非常に高いが、タンゴ風味に本格的に編曲されたのは今回が初めてではないだろうか。ちょっと前にピアソラにハマっていることについて書いたが、その語法がものの見事にバロックに適用されている。チェロも古楽器を使用しているのも評価できる。

最初に「キワモノ」と書いたが、実は何の不思議も違和感もなくニヤリとしながら楽しく聴けることができた。悪くない内容なので、興味が沸いた方はどうぞ。

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武蔵野在住の不惑研究者の備忘録。 息子と娘に嫌われないことを目標に日々過しています。

ちなみに登場人物はほとんど匿名ですが、 「御主人様(仮名)」とは私の妻で「愚息(仮名)」は息子のことです。

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