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学位申請についての覚書

基本的に、博士号には「甲」種と「乙」種がある。甲種はいわゆる「課程博士」と呼ばれ、修士卒業後に3年程度在学してしかるべきことをやった後に学位論文を書いて審査の後に授与されるもの。乙種はいわゆる「論文博士」と呼ばれ、修士卒業後に他機関で研究をやったのちに、しかるべき論文の本数をそろえたのちに学位論文を書いて審査の後に授与されるものである。ちなみに、中央教育審議会の大学院部会は,2005年4月14 日に論文博士制度の廃止を提言する中間報告案をまとめており、乙種の博士号授与がなくなるのは時間の問題と思われる。

現在、私が在学したときとは異なり、大学の組織は理工学大学院→専攻→専修という階層構造である。学位授与までのプロセスは、専攻・専修ごとにローカルルールが存在し、以下は慶應義塾大学理工学研究科開放環境科学専攻コンピュータ科学専修の2006年度時の流れである。ちなみに、偉大な先駆者itojunは、計算機科学専攻(今は「コンピュータ科学専修」)の同期である。

3本目の論文(信学会英文誌特集号)の条件付採録通知がもたらされ、7/19大学・大学院時代にお世話になったH先生に「そろそろ見通しが立ちました」と連絡を入れ、7/28に矢上キャンパスを訪れる。学位論文のあらまし、大学とCS専修を取り巻く現状や、主査の先生についてお話させていただく。結果、主査はS先生に頼むのがよいだろうということになり、H先生からお話をしてもらうと同時に、8/3にいつお伺いしたらよいのかメールでたずねる。現状(4本目が未投稿)を説明すると、まずは4本目を投稿してからでもよいのではないかというご指摘をいただき(ごもっとも)、とりあえずペンディングとなる。

3本目の論文は採録通知が10/3になんとかもたらされ、次いで四苦八苦しながらも4本目を10/20にweb経由で信学会に電子投稿。正式投稿がなされたという通知が10/28に届く。11/10にS先生に「4本目を投稿しましたので学位論文の中身についてお話させてください」とメールを出し、ご予定をお伺いした。

11/22は学園祭の時期と重なってお時間がとれるということで、S先生の研究室をお訪ねし、学位論文のあらましについてご説明差し上げ、今後のスケジュールとtodoを教えていただく。まず「こいつは学位を申請しても良いか」の予備審査を専修毎に行う。箇条書きで書き出すと:


  • この審査は専修内部に閉じられた個別審査であるが、本番の公聴会とほぼ同じ規模の発表を行う。
  • 45分の発表に15分程度の質疑応答であり、それに見合った発表資料を用意する。
  • 他に、配布用(つまり先生方の数だけ)に(1)履歴書、(2)業績リスト、(3)要旨(A4程度、様式はwebからdownloadする)、更に当日回覧用(つまり1部)に(4)別刷りを一冊にまとめたもの、(5)博士論文の下書き(書きかけで良い)を用意しておく。
  • 報告この時点で主査と副査が正式に決定する。副査は専修から2名、それ以外から1名の計3人。(当たり前だが)どなたにやっていただくかは、事前にネゴる必要あり。
  • コンピュータ科学専修では月曜日の午後にやるのが通例になっており、専修内の先生方13人(のうち10人ぐらい)が集まるそう。

ちなみに、予備審査は専修ごとのローカルルールがあるようなので、上記はコンピュータ科学専修にのみ当てはまると思われる。

専修の予備審査でOKとなると、「どうやらこいつが学位を申請したいらしいぞ」ということを専攻で審査してもらい、晴れてOKになると受理申請ができる状態となる。この専攻レベルの会議そのものは各月に1回程度の頻度で行われているらしい(1年分のスケジュールが予め組まれている)。それから1年以内に本審査(受理申請)を行わないと、予備審査結果は無効となり振り出しに戻る羽目になる。

当たり前の話だが、発表のときに注意することは「どうしてこれが博士論文になるのか。学位に値するのか」を説明できなければならないということ。つまり細かいことについてばかり説明するのではなく、学術的および社会的インパクト、意義が説明できなければならない。

以下は重要な参考リンク。

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武蔵野在住の不惑研究者の備忘録。 息子と娘に嫌われないことを目標に日々過しています。

ちなみに登場人物はほとんど匿名ですが、 「御主人様(仮名)」とは私の妻で「愚息(仮名)」は息子のことです。

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