1999.03.03「春」

待ちに待った春です。段々暖かくなって来ました。 「今年は暖冬だった」なんて気象庁の発表にありましたが、 私の場合、いくら暖かったとは言え冬よりは春の方が気分は晴れます。 また、春は、長いコートや高いブーツによって隠されていた うら若き女性のボディラインを鑑賞できるようになって来る季節ですので、 一男児としては大々歓迎なのですが、 あんまりこんな話を書いていると 人格を疑われてしまうばかりでなく、 年齢まで疑われてしまうので止めます。

本日のお題(?)は「春」。ヴァイオリン奏者ならば、 「春」と来たら「ベートーヴェンの?」などと反射的に言っちゃいそうですが、 バロック音楽に限れば「四季」が妥当な線でしょう。 この曲は、イタリアのイ・ムジチがお得意とし、 彼らが来日する度に各地を廻って伝導演奏したおかげか知りませんが、 日本でも誰でも知っている曲だと思います。 私もこの曲は実は大好きで、非常に良く書けた情景音楽だと考えています。 好きなモンですから、たくさんの演奏、 特に古楽器による演奏を絨毯爆撃的に聴いています。 今日の推薦盤と以前挙げたモノは置いといて、 今まで印象に残った演奏を挙げてみますと、

  1. English Concort, Trevor Pinnock (Cemb & Dir), S.Standage(Vn)
  2. L'Europa Gallante, F.Biondi (Vn & Dir)
があります。一癖も二癖もある演奏が好きな私の選択としては、 さらっとした演奏を身上とする、 1のイングリッシュ・コンソートは意外に思われるかも知れませんが、 実はソロのサイモン・スタンデイジの演奏が非常に即興的な演奏で面白いです。 2のリウロパ・ガランテは、ソロのファビオ・ビォンディの演奏がひたすら熱く、 イタリア物はやっぱりイタリア人がやった方が良いのか? と思わせる妙な説得力がありました。

この曲の面白いのは、 曲にソネット(*2)が付随していて、 それに同期するように音によって情景が描かれているというポイントです。 例えば、春の2楽章には犬の鳴き声の描写がありますが、 ヴィオラのパートが丁度それにあたります。その他にもたくさん描写がありますので、 テキストを片手に聴かなければその面白みが半減してしまうでしょう。

実は、当時イタリアでは6曲単位で1セットの曲を書いていた風習があり、 四季の4曲に、ほとんど演奏されることのない2曲の兄弟があることは 意外と知られていないかもしれません。それを収録したのが、 「過激な古楽演奏」にも挙げた、 アーノンクール指揮のConcentus Musicus Wienによる演奏です。 一度聴いておけば、知らない人に 「いやぁ、実は四季には他にも2曲兄弟がいるんだよ。知ってた? ま、大したデキじゃないから知らなくて良いんだけどねぇ」 などと蘊蓄をタレることができるでしょう。うーん、やなヤツ

(*1)人格を疑われてしまう
いや、まぁ、普段の私を知っている人なら疑われても仕方がないと お思いかも知れませんが…。
(*2)ソネット
14行で書かれる詩の形式。 断じてソニー系列のインターネットプロバイダのことではありません。
(*3)アーノンクールによる演奏
Concentus musicus Wien [A.Harnoncourt (Vn), N.Harnoncourt (Dir)], Teldec Das Alte Werk, 4509-93267-2, 1977

今日の推薦CD:
A.Vivaldi: "Le Quattro Stagioni"
Il Giardino Armonico [E.Onofri (Vn), G.Antonini (Dir)]
Teldec, 4509-96158-2, 1994

前に「過激な古楽演奏」の話を書いた時に、 ちらっと挙げたのがこの演奏です。今回は敢えてこの演奏を推薦盤とします。 ちょうどアーノンクールによる解釈をちょっと押し進めたような感じで、 相変わらず「ドコンドコン」いう超フォルテから、 霞んだ超ピアニッシモを有効に使って、彫りの深い演奏に仕上っています。 70年代から80年代のMusica Antiqua Koelnのように、 「ナンか期待してしまう」、現在もっともトンがった演奏団体です。


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Copyright (C) 1999 Yusuke Hiwasaki