2001年2月の「がまんしましょう。」


01.02.17,Sat悩んでみる。
01.02.18,Sunぎりぎりで購入してみる。
01.02.22,Thuサンフランシスコでも気を失ってみる。
01.02.23,Fri地図で判断を誤ってみる。
01.02.24,Sat時間を持て余してみる。
01.02.25,Sunぎゅうぎゅう電車に乗ってみる。
01.02.26,Mon眠気を堪えてみる。

00.02.17,Sat 「悩んでみる。」

コタツで脂汗を流していたのだ。

翌日からのカリフォルニア出張に向けての準備をしていた私は、 パソコンの蓋を開けて、愕然としていたのだ。 前から時間を見つけてはこつこつと環境を育ててきたパソコンの液晶画面に、 なんと。

4本のひび割れである。

さらに、そのひび割れから漏れ出たようなどす黒い浸みが2個。 その浸み上の画素は点灯していない。最悪である。 明後日から出席する予定の会合では、 その場でWord文書やらPowerpoint文書の資料が、 フロッピーディスクに入って回覧される。 パソコンがないということは、ぼーっと話を聞く他にないのだ。

と言うことは、つまり。「なんだ、じゃあ仕事しなくて良いのか」 などとヨコシマな結論に至ったのだ。って、そんなことで許される訳がない。

どうしよう。


00.02.18,Sun 「ぎりぎりで購入してみる。」

成田空港で冷汗を流していたのだ。

というのも、結局、新たにノートパソコンを購入すると決心したのだ。 ブツは、IBM製の ThinkPad i1124(2609-93J) である。このパソコン、 何が良いかと言うと、まず電池の持ちが異様によい。

すこし背景を説明すると、 パソコンのCPU市場をIntel社が独占している現状を打開すべく、 Transmeta社が開発したのがCrusoeというチップである。 特徴は、速いのにすごく消費電力が少ないと言うこと。 これに、「おっと、これではイカン」とIntel社が対抗して発売したのが、 超低電力型の PentiumIII である。このCPUを始めて搭載したのが、 このThinkPadということなのである。

というか、そんな能書きはどうでもいいのだ。 一度決心したからには手に入れなければならない。時間制限は、 16:45の全日空サンフランシスコ行きのNH007便が出発するまでである。


00.02.22,Thu 「サンフランシスコでも気を失ってみる。」

3日間も世話になりっぱなしになったエンジニアに別れを告げ、 16:45の飛行機でSan Franciscoに経ったのだ。

時差のせいで、今回の滞在はいつ何時も眠いのだ。 1時間の飛行時間も一瞬である。 さすがに南カリフォルニアのNewport Beachよりは寒く、雨が降っている。 それでも東京よりは全然暖かいんだけどね。

Union Square行きのバス停を見つけて、ダウンタウンへ移動。 そのバス停ではWashington州から来たというおばさんに話し掛けられ、 待ち時間もさほど苦痛ではない。しかし、 それにしてもアメリカ人はよく喋るのだ。

アメリカに来たからには、肉も食っとくかということで、 雨の中John's Grillに行く。1908年開店の由緒正しいレストランらしく、 店内は白人ばかりで、一人で食っている奴などいないのだ。 そのわりにはジャケットは要らないので、 気にせず道を背にして店内が見渡せる窓際の席に陣取ったのだ。 クラムチャウダーとニューヨークカットのステーキを頼み、さっさと食う。 味もサービスも最高級である。

ただ、一人で食っても全然うまくないのだ。

近くのVirgin Megastoreへふらっと立ち寄る。 んで、気づいたら3枚ものCDが入った袋を持って立っていたのだ。

気を失う癖はどこに行っても起きるらしい。


00.02.23,Fri 「地図で判断を誤ってみる。」

地図だけで判断してはいけないのだ。

サンフランシスコは 地図を見るとわかるが、碁盤目状になっている。 単純な私は、こういうのを見ると、なぜだか平城京とか平安京を連想し、 果てには平地に整然と建物が建っている碁盤目の街を思い浮かべてしまう。

だが、私は大いに間違っていた。

というのも、午前中は5月からお世話になる予定のK教授と、 1年間の研究テーマについて打ち合せをした。その後、先生が

「ちょっと散歩しようか」

などというから、ついていったら、もう大変。 息が上がってしまうぐらいのすんごい坂だらけ。

っていうか、サンフランシスコが坂の多い街であることは、 そこらのガキでも知っている有名な事実である。 そんな簡単なことを忘れていた私が馬鹿なのだ。

午後は Border's という本屋へ。 「You got mail.」で Tom Hanks が勤めていそうな典型的な大型書店。 無尽蔵にある本に囲まれて、一時の幸せな時間を過ごしたのだ。

ああ、幸せ。

Levi'sの店にも寄り、ジーンズを2本購入。 鏡の中に映る短足な自分につくづく嫌気がさす。

ああ、不幸せ。


00.02.24,Sat 「時間を持て余してみる。」

昨晩は、 山登りをしたおかげでくたくたに疲れてしまった所為か、 時差ボケの所為かは分からないが、夕食を抜いて午後7時には就寝。 そんなことをしているから時差ボケが直らないんだと言う話はさておき。

と言うことで、目が醒めたのは午前2時だったのだ。 当然、こんな時間だと店も何もやっていない。 飛行機の出発時間は10:45であるから、8:30ぐらいにホテルを出ればいい計算になる。 ということで、6時間半もさしてすることもなく、 だらだらと荷作りなどをしながらwebサーフィングをして時間を潰したのだ。

何ともつまらない合州国最後の日だったのだ。


00.02.25,Sun 「ぎゅうぎゅう電車に乗ってみる。」

飛行機を降りると、日曜日の午後なのだ。

11時間程度の飛行時間と考えると、 土曜日の朝に出発したら到着するのは土曜日の様に思えてしまうが、 もちろん、それは日付変更線を越えたからである。 何だかとてつもなく損をしている気がするが、 良く考えてみるとアメリカに向けて飛んだときに一日得をしているわけだから、 気にする程のことではない。だが、気になる。私は貧乏性だからな。

現実に戻ろう。とにかく、現在は日曜の午後である。 急いで家に帰って就寝せねば、明日からの仕事にさし障る。 ということで、京成、山手線と乗り継いで、 東京駅までたどり着いたのだ。後は中央線だけである。

と、なんだか様子がおかしい。アナウンスに耳を傾けると、 どうやら八王子の人身事故で、ダイヤが乱れているらしい。 まごまごしていると、いつ家にたどり着けるか分からない。 とりあえず止まっている電車に飛び乗ったのだ。

神田、御茶ノ水までは良かった。四ツ谷、新宿あたりからどんどん人が増加。 吉祥寺あたりでは、もう「ぎゅうぎゅう」の状態だったのだ。 月曜の朝8:00の中央線登り電車だったら半分諦めもつくが、 こちらは11時間の飛行後である上に、スーツケースを抱えているのだ。

日本と言う国がつくづく嫌になる瞬間である。とほほ。


00.02.26,Mon 「眠気を堪えてみる。」

ああねむい。

お約束の時差ボケである。16:00頃になると、とてつもなく眠くなる。 昨日到着したばかりなのだからしかたがない。

しかし、この「時差ボケ」と言うモノは、 訳もなく他人に吹聴したくなってしまうのだ。 なんだか海外に出張するなんて、スゴいではないか。

だが、良く考えてみると、 海外に出張なんて商社マンだったら当り前の話である。 海外出張だからといって単純に「スゴい」と思えてしまう 自分の価値自体に問題があるのだ。これでは、まるで

「このまえ、ぼく、ひこうきにのったんだよ。」

なんて言う小学生と同じレベルである。 っていうか、イマドキの小学生にとって、 飛行機に乗ることなんて当り前のことなのかもしれない。 しかも、時差ボケを職場で吹聴するというのは、

「私はろくに仕事をしてません。」

と吹聴しているのと同じではないか。これこそ問題である。 もっとも、いつも効率良く仕事なんてしてないんだけどね。

こうやって考えれば考える程、自分が恥ずかしくなるのだ。


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Last modified: Sat Oct 27 22:00:51 LDT 2001
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